■土ぼこりで赤茶けた周辺地域

 幹線道路の改善と港湾施設の増設は、マトグロソの穀物業者の輸送コスト軽減につながるだろう。だが、パラ州すべての人が恩恵にあやかれるわけではない。

 トラックの交通量の増加にともない、幹線道路沿いの地元住民らにとっては交通事故のリスクが増すほか、環境中に舞い上がるほこりの量も増える。すでに道路の周辺では、あらゆるものがこうした土ぼこりで赤茶けてしまっている。森林の伐採により、地域の気温が上がってしまったと話す住民もいる。

 西パラ連邦大学(Federal University of Western Para)のサンドロ・レオン(Sandro Leao)教授(経済学)は、大規模農業の拡大で土地と家屋の価格が上昇し、地元市場に出荷されていた農作物は栽培されなくなったと話す。その一方で、賃金と雇用の拡充は遅れており、携帯電話サービスも大きな町以外では利用できないままだ。

 こうした状況についてレオン教授は、北部地域の物流インフラを使った経済モデルが主に輸出業に関わる人々を優遇するものだと指摘しており、それが「農場経営者や輸出企業、大手商社、穀物輸出業者」だと名指しした。 (c)AFP/Allison JACKSON