【11月16日 AFP】ギリシャ・キパリシア湾(Kyparissia Bay)の砂浜で、ボランティアの手を借りて卵からふ化したばかりのウミガメが海に向かって進む──1000匹に1匹しか生き残れない危険な旅の始まりだ。

 地中海最大のアカウミガメ(学名:Caretta caretta)の営巣地でもあるこの海岸では、何人ものボランティアがモニタリングを続けている。アカウミガメの個体群の未来を左右するのは、観光事業と気候変動、そして運。アカウミガメは国際自然保護連合(IUCN)によって「危急種(Vulnerable)」に分類されている。

 アテネに本部を置くウミガメの保護団体アーケロン(Archelon)によると、ギリシャでは毎年600匹を超えるカメが死んでいる。海岸や海で死ぬ場合がほとんどで、網に絡まるか病気で死ぬカメもいる。

 アーケロンは1994年に活動を開始して以来、けがをしたウミガメの世話をしているが、その数は1100匹以上に上り、毎年新たに70匹以上を受け入れている。

 アーケロンは、ウミガメは海の水質の重要な指標だと主張する。

 海洋研究家のディミトリス・フィティリス(Dimitris Fytilis)氏は、「ウミガメの生育環境がある私たちは恵まれている。これは自然の宝。開発するのではなく、保護する必要がある」と訴えた。(c)AFP/John HADOULIS