【10月24日 東方新報】中国人民解放軍(PLA)軍事科学院、軍事医学研究院の科学研究団チームはこのほど、中国初の抗米援朝(朝鮮戦争)義勇軍烈士DNAデータベースバンクを設立。遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shenyang)にある抗米援朝烈士陵園に眠る烈士(革命戦士)の古い遺骸からDNAを採取し、最終的に6人の義勇軍烈士の身元を特定したという。現在までに累計494の義勇軍烈士の遺骸からDNAを分析し、三種類の遺伝子特徴に分類して革命烈士およびその親族のDNAをデータベース化した。

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 このプロジェクトは2014年に韓国における義勇軍烈士の遺骸が帰国し、民政省の主導でスタート。朝鮮戦争で犠牲になった義勇軍烈士たちは、ほとんど身元が判明しておらず、戦後70年近くたっても、その保障問題などが解決していない。この問題は2018年に新たに設立された国家退役軍人事務省の事業として引き継がれ、2015年以来、実質的に事業の委託を受けている軍事医学研究院が取り組んできた。

 チーム責任者の王升啓(Wang Shengqi)研究員によれば、激しい戦争環境の中で残された遺骸のDNAは鑑定がかなり困難で、特に骨格サンプルからのDNA採取の難度が高かったという。韓国の義勇軍烈士の遺骸の多くが土に長時間埋もれていたり、のざらしになっていたり、微生物の侵食もひどく、有効な鑑定結果を得られるDNAを採取するのは至難の業だったという。およそ10か月かけて、最終的に効果的なDNA採取法を確立し、鑑定成功率を大幅に向上させることができるようになった。

 しかし、DNA鑑定ができるようになってもさらなる困難に直面した。多くの義勇軍烈士は非常に若く、ほとんどが未婚で子孫がいない。すでに朝鮮戦争から70年近くたった現在、烈士の父母兄弟の生存も少なく、親族のDNAと比較しての身元特定に難航した。

 チームはこの遠縁のサンプルを使った複雑なDNA鑑定研究について、独自で創新したゲノム分析技術を応用。これは中国初のA型H1N1鳥インフルエンザウイルス実験に使われた技術で、中国で初めてエボラ熱ウイルス核酸検測試剤を生み出し、アフリカの防疫に用いられている。こうしてようやく6人の身元が特定された。今後、身元特定者を増やしていくという。

 王研究員は「軍の科学研究員として、義勇軍烈士の遺骸の身分鑑定を行うことに、光栄な使命感と重大な責任を感じている。最大の努力をして親族を探し当て、無名烈士を有名にしたい」と語っていた。(c)東方新報/AFPBB News