【10月21日 AFP】20日のラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)準々決勝、ウェールズ対フランス戦を裁いた南アフリカ出身の主審に対して、自身が退場を宣告したフランスの選手をばかにするようなポーズを取りながら、ウェールズのファンとカメラに納まった疑惑が浮上し、ファンの怒りを買っている。

 試合はフランスの9点リードで迎えた後半早々、フランスのLOセバスティアン・ヴァーマイナ(Sebastien Vahaamahina)がウェールズのFLアーロン・ウェインライト(Aaron Wainwright)の顔に肘打ちを浴びせると、ヤコ・ペイパー(Jaco Peyper)主審はリプレー検証で問題行為を確認し、退場を命じた。するとヴァーマイナの暴走をきっかけに流れは一変し、反撃に転じたウェールズが最後は20-19の勝利を収め、南アフリカとの準決勝に勝ち進んだ。

 しかしフランスのファンをがくぜんとさせたのは、ペイパー主審が試合後、ビールを手にしたウェールズのファンたちと撮ったとおぼしき記念写真だった。写真の中で、笑顔のペイパー主審は試合中の胸の悪くなる出来事をちゃかすかのように、ファンの一人の顎に右肘を突き出している。

 こうしたペイパー主審の無思慮ぶりが、ツイッター(Twitter)で非難の嵐を巻き起こしている。主審の行動を「恥知らず」「不愉快」「愚か」と呼ぶユーザーもいれば、大会からの追放や、何らかの処分を求める人もいる。

 試合後のヴァーマイナは打ちひしがれた様子で、控室に戻ったチームメートに向かって涙をこらえながら「完全に頭に血が上ってしまったと思う。言い訳のしようもない」と話していた。フランス・ラグビー連盟(FFR)のセルジュ・シモン(Serge Simon)副会長も、拡散している写真をリツイートしながら、「これが本物ならショックだし、説明を求めたい」とコメントしている。

 ワールドラグビー(World Rugby)も、詳しいことは明かしていないが調査に乗り出しているようで、「ヤコ・ペイパーが大分でのウェールズ対フランス戦後、ウェールズファンの一団と撮ったとされるSNS上の写真については、われわれも把握している」「現在は事実を確認中であり、その間はこれ以上コメントするのは適切ではない」と発表している。

 今大会ではすでに、ニュージーランド出身のベン・オキーフ(Ben O'Keeffe)主審の行動が波紋を呼んでいる。オキーフ主審については、担当したプールステージのオーストラリア対フィジー戦で、フィジーがトライを決めて21-12とリードを広げた際、「ロータッチ」を求めるかのようにトライを挙げたフィジーの選手に手を差し出している画像が出回り、物議を醸していた。(c)AFP