【10月21日 AFP】国際エネルギー機関(IEA)がこのほど、近年の二酸化炭素排出量の増加に、スポーツ用多目的車(SUV)の根強い人気が大きく関係していると指摘した。IEAによると、世界最大の排出量を誇るエネルギー分野に次ぐ規模の排出量だという。

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 IEAのファティ・ビロル(Fatih Birol)事務局長は先週、仏パリで開催された電力に関する会議で「全世界で販売されたSUVの販売台数は、2010年は全体の18%だったのに対し2018年は40%を超えた」と述べた。

 先週発表されたIEAの報告書によると、大型で燃料を大量消費するSUVの需要は、欧米諸国、中国、インド、そしてその他の発展途上国で急増している。こうした国々ではとりわけ、SUVを富の象徴と捉える傾向が強いという。

 SUVが2010~18年に大気中に排出したCO2は約7億トンで、これは、エネルギー産業における排出量のほぼ半分に上り、また鉄鋼などの製造業よりも多かった。環境活動家らが批判するトラックや航空、船舶といった輸送手段との比較でも、SUVが大きく上回った。

 ただビロル氏は、内燃機関車から電気自動車に移行したとしても、自動車産業のCO2排出量に大きな変化は見込めないと懸念を示している。世界には約600万台の電気自動車があるが、その半数が、電力の3分の2を火力発電所で賄っている中国に存在しているためだ。

 他方でIEAの報告書は、SUVの需要が今のペースで続けば、2040年までに世界の石油需要が1日当たり200万バレル近く増える見通しについても書いている。これは、電気自動車約1億5000万台分との相殺に当たるという。(c)AFP