【10月21日 AFP】米ニューヨークと豪シドニーをノンストップで結び飛行時間が世界最長となる豪カンタス航空(Qantas Airways)旅客機の試験飛行便が20日朝、シドニーに到着した。飛行時間は19時間16分。

 今回、試験飛行を実施したのはニューヨーク発シドニー行きのQF7879便。カンタスが年内の就航を目指す「超長距離」3路線の第1弾だ。乗客はわずか49人。1万6000キロを超える長距離を燃料補給なしで飛行するには、機体重量を最小限にとどめる必要があるためだ。

 カンタスのアラン・ジョイス(Alan Joyce)最高経営責任者(CEO)は、試験飛行の成功を「わが社と世界の航空業界双方にとって、実に歴史的な瞬間だ」と称賛した。

 カンタスはニューヨーク―シドニー便のほかにも、英ロンドンとシドニーを結ぶ直行便など、米豪、英豪間の超長距離路線の定期運航を見込んだ試験飛行を計画している。

■機内ではさまざまな時差ぼけ対策も

 超長距離路線の就航を目指すにあたり、カンタスはオーストラリアの2大学の協力を得て、複数の時間帯を越えるフライトが乗客や乗員の健康に及ぼす影響を研究。これを受けた「時差ぼけ対策」が、今回のニューヨーク―シドニー試験便に取り入れられた。

 ニューヨークで同便に搭乗した乗客たちは、まず豪東部時間に時計をあわせる。機内の照明は明るいまま、乗客たちは軽い運動をさせられる。さらに、カフェインや香辛料入りの機内食が提供される。全て、シドニーの時間で夜になるまで乗客を眠らせない工夫だ。離陸から6時間後、乗客たちに高炭水化物の機内食が提供され、ようやく照明が落とされて乗客は眠りにつくことができた。

 映像前半は離陸時と着陸時の操縦席からの映像、カンタス航空が20日提供。後半はフライトを終えシドニーに到着したジョイスCEOやパイロットら、20日撮影。(c)AFP