【10月26日 AFP】英国本土から約1万3000キロも離れていながら、南大西洋(South Atlantic)の英領フォークランド諸島(Falkland Islands)は今、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)の影響を受け、島内の生物多様性と水産物・食肉の輸出が危機に直面している。

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)政権とEU側とのブレグジットをめぐる協議は難航し、フォークランド諸島の環境保護活動家らは、その行方を不安な思いで見守っていた。EUからの多額の資金援助を打ち切られる可能性があるからだ。

 環境保護に取り組むNGO「フォークランズ・コンサベーション(Falklands Conservation)」のエスター・バートラム(Esther Bertram)代表(45)は、英国は海外領土の野生生物に対して責任を持つべきだと話す。

 バートラム氏によれば、フォークランド諸島には、絶滅危惧種のイワシクジラの他、マユグロアホウドリ、ペンギン5種、ゾウアザラシなどが生息している。

 人口3400人のフォークランド諸島は、EUの海外領域における生物多様性と生態系の保護に取り組むEU機関「BEST」から60万ユーロ(約7000万円)の経済的支援を受けてきた。今月31日のEU離脱期限後は、資金不足をどうやって穴埋めすればよいのかと頭を悩ませるバートラムさんは、「今後、EUの支援を受けられる保証はない」と語った。

 一方、フォークランド諸島の主要な輸出品である魚介類と肉類に関しては、「合意なき」離脱や不利な合意によって打撃を受ける可能性があるとフォークランド諸島立法議会のリオナ・ロバーツ(Leona Roberts)議員は話す。

 フォークランド諸島の国内総生産(GDP)は、2007~2016年では漁業が43%を占め、2018年の漁業の輸出対象地域はほぼEUだった。

「今は非関税や割当なしの恩恵を受けているが、それが変われば、間違いなく非常に厳しい状況に置かれ、歳入も大幅に落ち込むだろう」とロバーツ議員。「合意なき」離脱の場合、漁業収益は16%落ち込むとフォークランド行政府は推定している。