【10月21日 AFP】(更新、写真追加)南米チリの首都サンティアゴ郊外レンカ(Renca)地区で20日、衣料品工場が略奪・放火されて5人が死亡し、地下鉄の運賃値上げをきっかけに起きた暴動による死者は7人となった。当局は2夜連続で夜間外出禁止令を出すとともに、世界遺産都市バルパライソ(Valparaiso)や北部のアントファガスタ(Antofagasta)、南部バルディビア(Valdivia)など複数の都市にも非常事態を宣言した。

 ピーク時の地下鉄運賃が800ペソ(約122円)から830ペソ(約127円)に値上げされたことや社会的不平等に抗議するデモ隊と、治安部隊の衝突は3日目に突入した。警官隊と軍隊は催涙弾や放水銃を使用した。 

 人口700万人のサンティアゴでは20日、ほぼ全ての公共交通機関がまひし、店舗が閉店したほか、国際空港では多くの便が欠航した。

 20日朝にも、米小売り大手ウォルマート(Walmart)系列の店舗が放火された。この火災について、当局は当初3人が死亡したと発表していたが、アンドレス・チャドウィク(Andres Chadwick)内務・治安相は2人が焼死したと訂正した。当初病院で死亡したと発表された3人目の被害者は、全身の75%にやけどを負っている。

 当局によると、同国全土で重大事件が103件報告され、1462人が拘束された。うち614人がサンティアゴで、848人がそれ以外の地域で拘束された。

 デモ隊はサンティアゴをはじめとする各都市でバスに放火したり、地下鉄駅を破壊したり、信号機を倒したり、店舗を略奪したり、機動隊と衝突している。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH