【10月21日 AFP】20日に行われたラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)準々決勝で日本に勝利した南アフリカのラシー・エラスムス(Rassie Erasmus)ヘッドコーチ(HC)は、わずか5-3のリードで迎えたハーフタイムにチームが「とてもナーバス」になっていたと認め、今後はより高い集中力と安定感を示さなければならないと話した。

 スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)は、試合開始早々にマカゾレ・マピンピ(Makazole Mapimpi)がトライを決めたものの、その後は日本を突き放す絶好のチャンスをふいにし、残りの前半は得点を記録することができなかった。

「ハーフタイムの時点でとてもナーバスになっていた」と明かしたエラスムスHCは、「ホームのサポーターの存在と、アイルランド戦とスコットランド戦の彼らの戦いぶりもあり、この日本戦を迎えるにあたってチームは全体的に神経質になっていた」とコメント。プールA突破の要因となったブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)の二つの勝利を引き合いに出しながら、「日本には間違いなく勢いがあった」と続けた。

 しかしエラスムスHCは、状況を好転させるために、ハーフタイムに声を荒らげることはしなかったという。「選手がタックルをミスしたり、献身性ややる気を欠いたりしていれば、通常はきつい言葉が役に立つ」「だがパスの精度や技術的なミス、チャンスを逃してしまった時には、選手に自信を持たせなければならない。それがハーフタイムで難しいところだったと思う」

 指揮官の仕事が功を奏し、南アフリカは後半の開始10分間に2本のペナルティーゴールを決めて落ち着きを取り戻すと、その後2本のトライでリードを広げて26-3で勝利した。「強い言葉はいらなかった。選手を冷静にさせ、最後の部分の精度を高めるだけだった」とエラスムスHCは言う。

 ハーフタイムのミーティングの中心にいた主将のシヤ・コリシ(Siya Kolisi)は、「辛抱して自分たちのプランを信じる」ことがエラスムスHCのメッセージだったと話している。

 プールB初戦でニュージーランドに敗れている南アフリカが、今大会で3度目のウェブ・エリス・カップ(Webb Ellis Cup、W杯の優勝トロフィー)を掲げれば、プールステージで黒星を喫しながらW杯を制した史上初のチームとなる。

 エラスムスHCは、オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)に13-23で敗れた要因は3分間に許した二つのトライだったとし、選手は勝者になりたいのであれば試合中にスイッチを切ってはならないと注意を促した。「安定して戦うこと。それがわれわれが最も取り組まなければならないことだと考えている」

 また、試合を通じて集中することができれば、優勝は可能だと話し、「細かい部分を改善していく必要はないだろう。80分間フルで集中することの方が重要だ。W杯で優勝したいのなら、改善しなければならないのはそこだ」と付け加えた。

 エラスムスHCは日本代表とファンを称賛し、「今回のW杯を誇りに思うべきだ」「全体的に見て日本のラグビーには明るい未来が待っていると思う」と話した。(c)AFP/Richard CARTER