【10月21日 AFP】クルド人民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は20日、トルコ側の包囲するシリア北部の国境の町ラスアルアイン(Ras al-Ain)から完全に撤収した。停戦合意に基づく、大規模な撤収の始まりとみられている。

 トルコは9日、米国によるシリア北部からの部隊撤退発表を受け、シリアのクルド人勢力に対する越境軍事作戦を開始。17日夜には米国の仲介により軍事作戦を終了すると発表した。条件としてクルド人部隊が22日夜までにトルコがシリア領土内の国境沿いに設立を望む安全地帯から撤退することを挙げていた。

 SDFのマズルム・アブディ(Mazloum Abdi)司令官は19日、クルド人部隊がラスアルアインからの撤収が可能になり次第、タルアブヤドからラスアルアインまでの合意した120キロの地帯から撤収すると発表していた。

 SDFはその後、戦闘員らが停戦合意の一環としてラスアルアインから撤収したと発表。SDFの報道官はツイッター(Twitter)にラスアルアインには「われわれの戦闘員はもういない」と述べた。

 これに先立ちトルコ国防省は、クルド人部隊がラスアルアインから引き揚げていることを確認したと発表した。

 現場を取材したAFP記者によると、複数の救急車など少なくとも車両50台が町の病院を去る様子が確認され、車両が出発した直後には病院から炎が上がった。また部隊の制服を着た戦闘員数十人がピックアップトラックに乗り、親トルコ派のシリア人戦闘員が配置されていた検問所を通過したという。(c)AFP/Nazeer al-Khatib with Delil Souleiman in Tal Tamr