【10月20日 AFP】南米有数の情勢が安定した国チリの首都サンティアゴで19日、社会経済問題に反発したデモ参加者と治安部隊の衝突が2日連続で発生した。同国では、数年来で最悪の事態の収束を図り非常事態宣言が発令されていた。

 当局はグリニッジ標準時(GMT)20日午前1時(日本時間同10時)、サンティアゴに外出禁止令を出した。

 サンティアゴでは18日、衝突が発生し、バスや建物、地下鉄駅などが放火されたが、19日は大勢の市民が鍋などをたたきながら平和に抗議デモを開始した。しかしAFPが確認したところによると、その後サンティアゴ市内の数か所でフードをかぶったデモ参加者らと機動隊や軍隊が衝突し、バスが再び放火される事態となった。

 この騒動は地下鉄運賃の値上げをきっかけとしたものだが、貧富の格差拡大など経済・社会状況をめぐるより大局的な怒りを反映したものだ。セバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領率いる保守政権は、ここ数十年で最悪の社会的混乱に不意を突かれた格好だ。

 ピニェラ氏は18日夜、首都一帯に非常事態宣言を発令し、軍司令官に治安維持を命じて500人規模の部隊を動員した。この取り締まりで300人超が拘束され、警察官156人と民間人11人が負傷した。

 サンティアゴで放火が起きる中、ピニェラ氏が家族と飲食店でピザを食べている写真が出回り、市民は反発を募らせている。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH