【11月14日 Xinhua News】中国の科学者がこのほど、中国国内のアフリカ豚コレラウイルスの流行株の分離に成功し、同ウイルス粒子の3次元構造を初めて分析。アフリカ豚コレラの新型ワクチンを開発するための基礎を築いた。研究結果は10月18日、国際的学術誌「サイエンス(Science)」の電子版に掲載された。

 中国科学院生物物理研究所の饒子和(Rao Zihe)氏、王祥喜(Wang Xiangxi)氏のチームとハルビン獣医研究所の歩志高(Bu Zhigao)氏のチームはこの1年間、上海科技大学(ShanghaiTech University)など国内多くの科学研究機関と共に、アフリカ豚コレラウイルス粒子に関する基礎研究や臨床試験、有効率の高いワクチンなどの研究を実施してきた。

 研究の結果、アフリカ豚コレラウイルスは非常に巨大で複雑な病原体であることが判明した。さらに研究者たちは、アフリカ豚コレラウイルスのさまざまな構造タンパク質を新たに特定し、その可能な組み合わせのメカニズムを提示した。これにより、このウイルスが宿主細胞に侵入し、宿主の抗ウイルス免疫を回避・抑制するメカニズムを解明するための重要な手がかりが得られた。

 アフリカ豚コレラウイルスは約100年前に初めて発見され、今ではアフリカから欧州や南米、アジアなどの多くの国々に伝播している。このウイルスによって引き起こされるアフリカ豚コレラは、豚の品種や年齢を問わず感染し、発症率と致死率が極めて高い。

 中国では2018年にアフリカ豚コレラ発生の最初の通報を受けて以来、速いペースで感染が広がった。アフリカ豚コレラウイルスに関する基礎研究を行うことは、ウイルスに有効なワクチンを開発するための前提条件となる。(c)Xinhua News/AFPBB News