【10月19日 AFP】ラグビー日本代表は、W杯(Rugby World Cup)で南アフリカ代表とわずか一度しか対戦していないが、その一戦は大会史上に名を残すもので、ラグビー界に最大級の衝撃を与えた。

 2015年のイングランド大会(Rugby World Cup 2015)、英ブライトン(Brighton)でのプールステージ初戦で強豪スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)と対戦するエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)率いる日本の勝利のために、祈りをささげた人は誰もいなかった。

 ブックメーカー(賭け屋)は南アフリカが勝利するとみて、日本の勝利に500倍のオッズを付けたが、ブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)には違う思いがあった。

 フランソワ・ロウ(Francois Louw)が先制点を決めると、多くの観客はスプリングボクスがさらに得点を重ねることを期待したが、前半の日本は見事な守備を見せると、主将のリーチマイケル(Michael Leitch)がトライを決めるなど10-12とわずかな差でハーフタイムを迎えた。

 後半開始早々にルード・デヤハー(Lood de Jager)にトライを決められたものの、日本は五郎丸歩(Ayumu Goromaru)のキックで追随し、残り20分のスコアは思いもよらない22-22だった。

 アドリアーン・ストラウス(Adriaan Strauss)が疲れが出た日本の守備陣を突いてトライを決めてリードを手にし、スプリングボクスはそのまま逃げ切るのではとの思いが、スタジアムの多くの観客によぎった。

 しかし、五郎丸がトライとコンバージョンを決めて日本は29-29と再び同点に追い付くと、試合は神経をすり減らす残り10分を迎えた。

 ハンドレ・ポラード(Handre Pollard)のペナルティーゴールが決まり南アフリカは32-29とリードを奪ったが、その後リーチは、同点を狙えるペナルティーのチャンスをはねつけ、勝ちを狙いに行く決断を下した。

 するとこれが功を奏し、日本はインジュリータイムに途中出場のカーン・ヘスケス(Karne Hesketh)がコーナーぎりぎりに飛び込み、34-32と逆転した。

 しかしながら日本はその後、スコットランドに10-45と敗れると、ボーナスポイントの差でプールステージ突破を逃した。一方で南アフリカはそこから盛り返してプールを首位で突破。準々決勝でウェールズを下したが、準決勝ではニュージーランドに18-20で屈した。(c)AFP