【10月19日 AFP】(更新)チリのセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領は18日夜、首都サンティアゴに非常事態宣言を発令し、治安に関する権限を軍に委譲した。同国では、地下鉄の運賃値上げに対する抗議活動が行われ、暴動も起きていた。

 ピニェラ大統領は、「非常事態を宣言するとともに、わが国の有事立法の条項に従い、ハビエル・イトゥリアガ・デル・カンポ(Javier Iturriaga del Campo)少将を国防のトップに任命した」と述べた。

 デモ参加者らは18日、市内の複数の場所で機動隊と衝突。複数の駅が襲撃を受け、地下鉄の運行が停止された。

 夜になると暴動は激しさを増し、市の中心部にあるイタリアの電力大手エネル(Enel)のビルやチリ銀行(Banco de Chile)の店舗には火が付けられ、複数の地下鉄駅には火炎瓶が投げつけられた。

 地下鉄駅への襲撃により、路線網全体が閉鎖を余儀なくされた。人口が密集するサンティアゴにおいて地下鉄は主要な公共交通機関で、毎日300万人が利用している。

 地下鉄の運賃は今年1月に20ペソ(約3円)値上げされたのに続き、今回はピーク時の利用で800ペソから830ペソ(日本円で約122円から約127円)に値上げされた。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH