【10月23日 CNS】中国の上場IT企業「楽視網」の創始者、賈躍亭(Jia Yueting)氏が、米国で個人破産申請をしたことをメディアが報じた。澎湃新聞(The Paper)は、同氏の債権者の事情に詳しい人物の情報として「賈氏が米国の裁判所に『個人破産・資産整理』を自主申請した」と伝えている。

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 申請により、賈氏はすべての資産を「債権者信託方式」で債権者に譲渡し、その信託資産は債権者委員会と信託財産受託人によって管理されるという。一方、弁護士は「賈氏の個人破産は米国においては有効だが、中国国内の債務に対しては依然として中国の法律が適用され、中国国内の債権者は中国法に基づいて自己の権利を主張できる」との見解を示している。

 事業の主力を自動車製造に移した賈氏について、中国の富豪番付「胡潤百富(Hurun Report)」は先日、個人資産45億元(約689億円)で富豪順位912番目に載せていた。

 中国の経済紙「時代週報(The Time Weekly)」は以前、2017年上半期に楽視網グループは全面的に資金調達危機に陥ったと報じていた。楽視網の供給業者に対する未払い金約100億元(約1530億円)、借入金約200億元(約3060億円)、債務総額350億元(約5360億円)におよぶ。賈氏は楽視網の時の董事長として、債務の大部分に「連帯弁済責任」を負うとしている。

 賈氏はこれらの債務をすでに返済したのか否かが焦点だが、米国の電気自動車ベンチャー企業は今年8月、自社の微信(ウィーチャット、WeChat)公式サイトで「賈躍亭氏は過去2年間で多くの方法で30億ドル(約3260億円)の中国国内債務を返済した。債務返済信託基金の設立は債務問題を速やかに徹底的に解決するためのもの」と回答している。

 もしこの返済済み金額が事実であれば、賈氏はまだ国内に100億元(約1500億円)を超す債務があることになる。

 一方、楽視網の19年上半期業績報告を見ると、「負債比率」が268%と高い数値になり、負債総額はまだ216億元(約3310億円)ある。同報告によると、19年6月30日の時点で、楽視網の大株主(賈氏)及びその実質支配下企業が連結負担すべき債務は約19億8500万元(約304億円)存在するとしている。

 同報告ではまた、18年8月から現在まで楽視網と大株主及びその関連企業は何度も交渉を重ねたが、債務返済について合意に至らず、現時点で大株主とその関連企業の債務処理チームはまだ実行可能な解決案を提示できていないため、楽視網は債務解決案によるキャッシュをまだ一銭も得ていない状況だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News