【10月20日 AFP】20日に行われるラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)準々決勝では、開催国日本と南アフリカが激突する。そこでAFPは、両チームの勝利の鍵を握る選手3組のマッチアップを紹介する。

■シヤ・コリシ対リーチマイケル

 シヤ・コリシ(Siya Kolisi)とリーチマイケル(Michael Leitch)は選手たちをけん引する主将であると同時に、米国映画でマントをひるがえすスーパーヒーローのごとく絶対的な守り神であり、チームに大きな影響力を持つ存在だ。

 ボール争奪の要である両FLは、深刻なけがを抱えて今大会でプレーするために故障との闘いに勝つことを強いられた。この神出鬼没な襲撃者二人が復帰したことによって、両チームの士気がどれほど上がるか、その影響力は計り知れないものがある。

 昨年、黒人選手として南アフリカ史上初の主将となったコリシは、2015年大会の初戦で日本に32-34の屈辱を喫した二の舞は避けたいスプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)にとって、今週末の一戦では精神安定剤の役目を果たすだろう。

 いつも余裕の風格を漂わせているコリシは前週、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の今季第17戦日本GP(Japan Grand Prix 2019)の観戦に訪れ、レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)に南アフリカのジャージーを進呈した。

 先月行われた壮行試合で日本に41-7で圧勝し、今回も勝利の可能性が高いとみられている南アフリカに対し、リーチは「彼らにひれ伏すつもりはない。自分たちは準決勝進出を目指している」と警告した。

■チェスリン・コルビ対松島幸太朗

 中立の立場からすれば、今週末の日本対南アフリカ戦は、その爆発力やテンポの速さ、そして一気にペースを加速する両チームの戦いぶりから、準々決勝の中でも屈指のカードに挙げられる。

 南アフリカはプールB開幕戦でニュージーランドに13-23で敗れはしたものの、「ポケット・ロケット」の愛称を持つWTBチェスリン・コルビ(Cheslin Kolbe)は、その電光石火のスピードで世界王者オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)をかく乱してみせた。

 陸上男子400メートルの五輪金メダリスト、ウェイド・バンニーキルク(Wayde van Niekerk、南アフリカ)のいとこでもあるコルビが、スプリングボクスにとって特別な才能であるように、松島幸太朗(Kotaro Matsushima)も日本にとってはまさに同様の存在となっている。

 松島はプールAで合計5トライを記録し、ブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)が大方の予想を覆して4戦全勝を収めて初のW杯8強入りを果たすのに貢献。その松島と両翼を担う福岡堅樹(Kenki Fukuoka)も侮れない存在で、日本が19-12で勝利したアイルランド戦では、相手に一泡吹かせた。

 この二人のスピードは、日本を率いるジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)ヘッドコーチ(HC)が「フェラーリ(Ferrari)」になぞらえている。対する南アフリカにとっては、コルビが正真正銘の勝利の鍵だ。まばたきすれば、彼らのプレーを見逃すことになる。

■ハンドレ・ポラード対田村優

 卓越したキックの技術を持つハンドレ・ポラード(Handre Pollard)は、プールステージではエルトン・ヤンチース(Elton Jantjiesと交互にSOの役割を果たしたが、日本との大一番では南アフリカの司令塔として先発する。

 ポラードがマッチアップするのは、開催国日本を覚醒させている田村優(Yu Tamura)だ。正確なキックを誇り、タックルも決して辞さない同選手は、チームメートが英語で叫ぶ指示の内容を理解していないことがありながらも、ここまで今大会最多の合計48得点を記録し、こちらも最多10本のペナルティーゴールを成功させている。

 いつも冷静沈着な田村は、重圧がかかった場面でもその落ち着きぶりを発揮している。南アフリカがW杯優勝を目指し、前回大会の「ブライトン(Brighton)の奇跡」の悪夢を振り払おうと必死に向かってくる際には、主将のリーチをはじめ、堀江翔太(Shota Horie)、トンプソンルーク(Luke Thompson)らベテラン選手と同様に、チームにとって欠かせない存在となるだろう。(c)AFP/Alastair HIMMER