【10月17日 CNS】重慶大学(Chongqing University)創立記念日の前夜にあたる14日、ある収集家がインターネット上に「重慶大学博物館に大量の贋作(がんさく)が展示してある。600万元(約9300万円)以上かけてつくった博物館が『偽物博物館』になってしまった」と書き込んだ。

 同収集家は「改装版の『銅車馬(どうしゃば)』は大きく、全体に銀細工が施されている。馬の造形と車の構造は、完全に『秦の始皇帝陵の銅車馬』の中の一つを模倣、しかし形状には違和感があり、つくりは至って粗い」「金メッキに合成トルコ石と正体不明の合成宝石をはめ込んだ亀は、メッキ技術と人造宝石の歴史を2000年前進させた」「『唐三彩女俑』の女性は太りすぎ。顔料の青は現代にしかない青でボールペンよりも青い。下膨れの顔や寄り目も唐代の審美ラインを大きく逸脱している」と投稿している。

 重慶大学は15日、ネット上の世論に留意をしており、調査を実施するとコメントを発表した。重慶市文物局も本件の調査に介入するとしている。

 重慶大学の建設計画処のウェブサイトには、2018年12月11日に発表された文章が掲載されており、博物館の展示エリアは総工費605万元(約9300万円)、建築面積1494平方メートル、虎溪(Huxi)キャンパスの芸術楼の回廊を改造してつくられ、展示室、会議室、事務所、貯蔵室などを含むとしている。

 館内の展示品は、主としてかつて重慶大学芸術学院の常務副院長だった呉応騎(Wu Yingqi)教授から贈呈されたものだ。呉教授は2016年1月、重慶のメディアの取材を受けた際に「これらの文化財は専門家の鑑定済みのもので、極めて貴重な文化財が60%以上入っている。重慶大学の博物館が全国で一流の博物館となることを望んでいる」とのコメントを残している。

 重慶大学教育発展基金会のオフィシャルサイトによると、呉教授が2月26日に贈呈した文化財は342点で、そのうち、青銅器22点、陶磁器161点、玉器159点だ。

 疑惑を受け、国内の著名な博物館の専門家は15日、「重慶大学の博物館が展示した作品が全て贋作とはいえないが、少なくとも、展示品の写真を見た限りでは、『荒唐無稽』としか言いようがない。最近多くの大学で博物館を建設していることは良いことだが、厳格で専門的な選別基準がなければならない」とコメントしている。

 重慶大学は1929年に設立された中央政府教育部に直属の重点大学。同博物館は15日にはすでに閉館していた。(c)CNS-澎湃新聞/JCM/AFPBB News