【10月17日 AFP】米軍のシリア撤退後、トルコ軍による攻撃を受けているシリアのクルド人民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の司令官は16日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に対する作戦の「凍結」を表明した。国連安全保障理事会(UN Security Council)は同日、シリアで拘束されている過激派戦闘員が「分散」する恐れがあると警告する声明を全会一致で採択。ただ声明は、トルコのクルド人勢力攻撃停止を要請するには至らなかった。

 米国主導の連合軍から支援を受けIS掃討作戦を行ってきたSDFのマズルム・アブディ(Mazloum Abdi)司令官はクルド系テレビ局に対し、「われわれはダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)に対する軍事行動をすべて凍結した」と表明。SDFは今後、防衛作戦のみ実施すると説明している。

 一方の安保理は声明で、「ISIL(ISの別称)を含む国連指定組織からテロリストが分散する危険性について、安全保障理事会の各理事国が深い懸念を表明した」とし、シリア北東部での「人道的状況のさらなる悪化についても深く懸念している」と言明した。

 安保理を構成する15か国には、シリア内戦の主要当事国の一つであるロシアも含まれる。今回の短い声明はフランスが提案したもので、欧州の各理事国の要請により開かれた短時間の会合の後、採択された。声明には、トルコの軍事作戦に対する非難や停戦要請は含まれていない。(c)AFP