【10月17日 AFP】オランダ北部の人里離れた農家で男性とその成人した子どもらが保護された事件で、当局は16日、オーストリア人の男が親子を10年近くにわたり監禁していた疑いがあると発表した。

 事件では、ドレンテ(Drenthe)州ライナーボルト(Ruinerwold)村郊外の農家で、小さな隠し部屋にいた父親とその18~25歳の子ども5人を警察が発見。捜査への協力を拒否したとして、父親とは別の58歳の男が逮捕された。警察は当初、保護された子どもの数を6人としていたが、その後5人に訂正した。

 オランダ検察当局は、容疑者の男には「違法な自由剥奪と他人の健康侵害の疑いが掛けられている」と発表。オーストリア外務省はこれに先立ち、ウィーン出身のオーストリア国籍の男が事件に関係して身柄を拘束されていることを認めていた。ただ同省によると、男はオーストリア当局との接触を拒んでいるという。同省報道官はAFPに対し、オランダ当局からの話として、容疑者以外は全員がオランダ人だったと語った。

 容疑者の男はライナーボルトで「オーストリア人のヨゼフ」と呼ばれていたと報じられている。オランダメディアは、この男が一家を監禁していた人物であり、農家を賃借して一家のために庭で野菜を育てていたと報道。一家は何年も「終末を待っていた」と報じられているが、当局はこの情報を確認していない。警察は当初、一家が地下室に監禁されていたとしていたが、後の発表で一家が「屋内の封鎖された小部屋」に閉じ込められていたと説明した。

 一家発見のきっかけは、息子のうちの1人が近所のバーを訪れ、助けを求めたことだったとされる。だがこの息子が今年、ソーシャルメディアを使用していたとの情報が浮上し、事件をめぐる謎はさらに深まっている。

 オランダメディアによると、名前がヤンとだけ明かされている一家の長男(25)はフェイスブック(Facebook)にアカウントを持っており、今年6月に9年ぶりに投稿をしていた。

 オランダ日刊紙テレグラフ(De Telegraaf)によると、長男はこの投稿で、製材会社で新しい仕事を始めたと書き込んでいた。この会社は容疑者の男が所有していた会社の関連会社で、事務所は14日に警察の捜索を受けている。

 長男はさらに、ライナーボルトとその周辺で「木々に囲まれた」自身の写真や各種商品へのリンク、最近開かれた気候変動をめぐる行進などの集会に関係するリンクも投稿していた。

 長男がビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン(LinkedIn)」に掲載していたプロフィルには、2004年に母が亡くなるまで両親は好調な事業を経営していたと書かれている。(c)AFP