【10月16日 AFP】犬や猫の餌用に人気が高まっている生肉ペットフードには、さまざまな薬剤への耐性を持つバクテリアがあふれており、動物や人間に深刻なリスクをもたらしているとする研究結果が16日発表された。

 英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」での報告によると、スイスで購入され試験された生肉ペットフードのサンプルのうち4分の3は、胃腸感染症の原因として知られるバクテリアの数が推奨される限度値を超えていた。また半数以上に、殺菌剤の影響を受けないバクテリアが含まれていた。

 生肉ペットフードの売り上げは、犬用の製品を中心に近年大幅に増えている。犬の体力や免疫力を高めると言われているが、こうした主張を裏付ける研究は十分にされていない。

 スイス・チューリヒ大学(University of Zurich)の研究者、マグダレーナ・ノイシュインダービネン(Magdalena Nuesch-Inderbinen)氏は「生食をもとにした餌には、世界保健機関(WHO)から人間の医学にとって非常に重要と分類されているものなど、さまざまな抗生物質に耐性のあるバクテリアが含まれている可能性がある」と指摘した。

「これらの病原体は、ペットに餌をやるときだけでなく、住宅の床などの汚染や、犬や犬のふんとの密接な接触によって、人間に感染することを示す証拠が増えている」という。

 欧州連合(EU)域内で飼育されている犬と猫の数は合わせて推計14億匹で、北米でも同様かそれ以上とされる。日本の「ペットフード協会(Japan Pet Food Association)」によると、日本国内で飼育されている犬と猫の数は、昨年10月時点で計1855万匹を超えている。(c)AFP/Marlowe HOOD