【2月16日 AFP】北欧のワイン造りは、欧州の名高いシャトーワインが放つ華やかさには遠く及ばない。北欧は太陽が気まぐれな上、ブドウを栽培できる期間も短く、ワイン造りには多大な労力を要する。だが、最近は地球温暖化によって収穫量が増加傾向にあるという。

 数千年の歴史を誇る欧州大陸の畑とはかなり趣が異なるスウェーデンのブドウ畑で、ワイン醸造家のムレ・ソフラキス(Murre Sofrakis)氏(51)は夏の終わりのある日、自らが所有するブドウ畑を入念に見回った。

 地中海沿岸の出身であるかのようないかつい風貌と屈強な体格のソフラキス氏は、スウェーデン南部スコーネ(Skane)地方に2ヘクタールのブドウ畑を所有する国内屈指のワイン醸造家の一人だ。

 2001年にワイン造りを始めた当初は17品種のブドウを使って、100リットルのワインを製造した。「これはと思う品種が見つかるまでは時間がかかった。ここにはブドウ栽培の伝統がないので、一から学ばなければならなかった」

 ソフラキス氏は現在2軒の醸造所に携わっており、年間2万本を出荷している。これはスウェーデンのワイン生産量全体のほぼ3分の1にあたる。

 しかし、世界全体で見るとその量はほんのわずかにすぎない。スウェーデンでブドウ畑にされている土地はわずか100ヘクタールで、フランスの75万ヘクタールと比較するとその差は歴然だ。収益の面から見ても、仏ボルドー(Bordeaux)や米ナパバレー(Napa Valley)、南米アンデス山脈(Andes)とは比べものにならない。

 スウェーデン農民連盟(Federation of Swedish Farmers)によると、スウェーデンのワイン醸造家の2016年の平均年収は60万クローナ(約680万円)だったという。