【10月16日 AFP】2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)のアジア2次予選は15日、各地で試合が行われ、グループHでは北朝鮮がホームで韓国と0-0で引き分けた。

 厳密には戦争状態にある両国のW杯予選は歴史的なものとなったが、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長が駆けつけたものの、無観客の中で外界からほぼ完全に遮断された状態で行われるという現実離れした試合でもあった。

 北朝鮮の首都・平壌にある金日成競技場(Kim Il-Sung Stadium)で行われたこの一戦は生中継されず、サポーターだけでなく海外メディアもスタジアムに入ることはできなかった。

 イングランド・プレミアリーグ、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)に所属する孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)は、平壌で行われる北朝鮮との初の公式戦でキャプテンマークを巻いた。

 しかし、平壌への渡航が許されずフラストレーションをためた韓国のファンは、試合映像を録画したDVDが持ち帰られた後、その放送をテレビで見るまで数日待たねばならないだろう。

 北朝鮮問題を管轄する韓国統一省は発表文の中で、「北朝鮮側はわれわれの代表チームが出発するまでに、90分の試合映像が録画されたDVDを提供すると約束した」と記した。

 アジア・サッカー連盟(AFC)によって、長年にわたり「最も待ち望まれていた試合の一つ」と紹介されたこの一戦の行方を簡単に追う唯一の手段は、FIFAとAFCの公式サイト上にあるテキスト実況だけだった。

 しかし、更新されたのはイエローカードと交代選手の情報だけであり、北朝鮮の李栄直(Yong-Jik Ri、リ・ヨンジ)とリ・ウンチョル(Un-Chol Ri)、韓国の金英權(Young-Gwon Kim、キム・ヨングォン)と金ミン哉(Min-Jae Kim、キム・ミンジェ)に警告が出された。

 大韓サッカー協会(KFA)の公式サイトに掲載された写真からは、巨大な照明が無人の観客席を照らす中、試合が行われている様子が確認できる。

 北朝鮮を訪れるのはこれが初めてだとみられるインファンティーノ会長は、同日の早くに平壌入りしており、数少ない観客の一人となった。

 平壌入りした際、北朝鮮サッカー協会(DPRKFA)のキム・ジャンサン(Jang-San Kim)会長に空港で歓迎を受けたインファンティーノ会長は、同国の国旗のピンバッジを身に着け「ここに来ることができとてもうれしい」とコメントした。(c)AFP