【10月22日 AFP】手回し式ラジオ、数枚のカラー写真、積み上げられた本──これらは、マーガレット・ギャラガー(Margaret Gallagher)さんが現代世界に暮らしている数少ないしるしだ。

 ギャラガーさんは生まれてから77年間ずっと、北アイルランド・ファーマナ(Fermanagh)州の田園地帯にある築200年のわらぶき屋根の家に住んでいる。水道や電気はなく、トイレは屋外だ。

「今の暮らし方以外、何も知りません。だから、持ったことのないものを欲しいと思うこともありません」。白い石壁の自宅を紹介しながら、ギャラガーさんは話す。「必要なのは、のどかなこの家で人生を全うするための健康だけです」

 ギャラガーさんの一日は、近くで湧き水をくんでくることから始まる。燃料のまきと泥炭をくべた暖炉で、1日3食を調理する。暖炉の火と石油ランプとろうそく、これらがギャラガーさんの家を照らす明かりだ。

「ここが私の場所。満足しています」。午前中にケーキを焼いた後、ギャラガーさんはそう語った。

■若者は「流行が好きなだけ」

 現代のライフスタイルが環境や心理に及ぼす影響をめぐる主流の議論の中では、変化が起きている。皮肉なことに、ギャラガーさんはその古風な生活のために、その変化の最先端に立たされている。

 若者世代が炭素排出量の少ない生き方を追求する背景には、環境への配慮や住宅費の上昇もある。

 だが、ギャラガーさんは、環境への配慮を推し進める昨今の運動に懐疑的だ。

「一時的な気まぐれでしょう──若者は流行が好きです。真新しくて輝いていますから。1、2年で(興味の対象が)何か他のものに変わるでしょう。本物ではないのです」

 映像は7月撮影。(c)AFP/Joe STENSON