【10月14日 AFP】ポーランドで13日に行われた総選挙は、欧州連合(EU)懐疑派の右派与党「法と正義(PiS)」が過半数を維持する見込みとなった。PiSは、LGBT(性的少数者)の権利や欧米的な価値観を非難しながら、福祉政策の充実を図っている。

 世論調査会社イプソス(Ipsos)の出口調査に、14日未明に発表された一部の公式結果を加えた下院(定数460)選の得票率は、PiSが43.6%で239議席を得る勢い。中道野党の「市民プラットフォーム」は27.4%(131議席)、左派連合は12.4%(46議席)を獲得した。

 イプソスによると、昨年結成された自由主義の極右政党連合「コンフェデレーション(Confederation)」は、6.4%(13議席)、農民党(PSL)とクキズ15(Kukiz 15)の政党連合は9.1%(30議席)を獲得した。

 PiSのヤロスワフ・カチンスキ(Jaroslaw Kaczynski)党首は、首都ワルシャワの党本部で支持者らに対し、「この先4年間、大変な仕事が待っている。ポーランドはもっと変わらなければならない。良い方に変わっていくべきだ」と訴えた。

 専門家らは、強硬派のPiSの勝利によって、司法の独立や法の支配を侵害する危険のある司法制度改革が続けられ、この先EUと対立する可能性があると警鐘を鳴らしている。

 ワルシャワ大学(University of Warsaw)の政治学者、アンナ・マテルスカ・ソスノフスカ(Anna Materska-Sosnowska)氏はAFPに対し、総選挙の最終結果で与党の過半数獲得が決まれば、「PiSが自由民主主義をさらに制限することが予想される」と指摘した。

 ワルシャワを拠点に活動する専門家のエバ・マルチニャク(Ewa Marciniak)氏は、ドイツで進む景気減退のあおりを受けてポーランドの歳入が伸び悩み、PiSの福祉政策に痛手となるだろうと指摘した。(c)AFP/ Mary SIBIERSKI