【10月14日 AFP】チュニジアで13日、大統領選挙の決選投票が行われ、出口調査によると保守派の憲法学者カイス・サイード(Kais Saied)氏(61)が圧勝する見通しとなった。対立候補のメディア界の大物、ナビル・カルウィ(Nabil Karoui)氏は敗北を喫した。

 今回の選挙は、革命後のチュニジアで変化しつつある政治情勢を背景に、7月のベジ・カイドセブシ(Beji Caid Essebsi)大統領の死去を受けて実施された。出口調査による得票率は無所属のサイード氏がEmrholdの調査で約72.5%、Sigmaの調査で76.9%となり、40%程度のカルウィ氏に大差をつけた。正式な結果は14日に発表される予定。

 首都チュニス中心部にあるサイード氏の選対本部では、勝利の知らせに歓声が湧き上がった。本部前では花火が打ち上げられ、集まった群衆は「カイス・サイード、国民の声」「チュニジア万歳」と唱和した。大勢の人が首都の通りに出て車のクラクションを鳴らし、国歌を歌った。

 決選投票を争った両氏は共に政界では新人だ。サイード氏は「ロボコップ(Robocop)」、カルウィ氏にはイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相にちなみ「チュニジアのベルルスコーニ」とニックネームが付けられた。

 先月15日に行われた第1回投票で両者は保守派を破った。中東の民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」が始まったチュニジアで、停滞した経済と失業、貧弱な公共サービスに対する有権者の怒り強いことが浮き彫りとなった。

 選挙戦に論争と不安な様相を添えたのが、カルウィ氏が9日に釈放されたばかりだったことだ。同氏は資金洗浄の疑いで1か月以上、拘束されていた。

 今回の選挙は、2011年の民主化運動以降で2度目の自由な大統領選挙。決選投票の投票率は第1回投票より高い57%前後とみられている。(c)AFP/Kaouther Larbi