【10月13日 AFP】12日に行われたラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)のアイルランド対サモア戦で、危険なタックルにより退場処分を受けたアイルランドのCTBバンディー・アキ(Bundee Aki)について、敗れたサモア側が、決勝トーナメントでの出場停止処分は見送ってほしいと大会側に訴えた。

 アキはサモア戦の28分、相手SOのウルパノ・セウテニ(Ulupano Seuteni)の顔面に肩でタックルし、レッドカードを提示された。これで残り50分以上を14人で戦うことを余儀なくされたアイルランドは、それでも7トライを決めて47-5で大勝。ボーナスポイントも獲得して準々決勝進出を確定させた。

 アイルランドは決勝トーナメントの最初の試合でニュージーランドか南アフリカと対戦するが、アキが出場できるかは不透明になっている。今大会は脳振とうをできるだけ減らす試みの中、ハイタックルには厳しい処分が科されていて、レッドカードはこれが大会通算7枚目。さらに3試合の出場停止が、ここまでの標準的な処分になっている。

 それでも、アキがサモアにルーツを持つ選手だということもあってか、サモア側はタックルが意図的なものではなかったと信じている。

 サモアのスティーブ・ジャクソン(Steve Jackson)ヘッドコーチ(HC)は、「バンディーのことは昔からよく知っているし、非常に素晴らしい人間だということも分かっている。とても気の良い男で、フィールドでわざとあんなことをする選手ではない」と話した。

 さらにジャクソンHCは、今大会のハイタックルに対する処分の仕方は「コイントス」のようだと表現し、「できれば上の人間には空気を読んで、彼の大会が続くようにしてほしい」「われわれもサモア側の視点から、バンディーが来週フィールドに出られるよう全力を尽くすつもりだ」とコメントした。

 一方でアイルランドのジョー・シュミット(Joe Schmidt)HCは、主力CTBの離脱を半ば覚悟しているようで、「今後の参加はこれで危うくなった。非常に苦しい状況なのはわれわれも分かっている」と明かした。

「本当に厳しい状況だ。私としてはバンディーは上半身を起こしていて、見て分かる通り、両手を向かってきた選手の肩の後ろへ回している。しかもコンマ数秒の出来事だったんだ」

「希望は持っているし、裁定を待つが、一度レッドカードを出されてしまった以上、どう頑張ろうと結果がどうなるかはわれわれにはどうしようもない部分がある」 (c)AFP/Chris FOLEY