【10月12日 AFP】スティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)米財務長官は11日、トルコがシリア北東部で開始したクルド人勢力に対する軍事作戦の拡大をけん制する措置として、ドナルド・トランプ(Donald Trum)大統領が大規模な対トルコ制裁を承認する意向だと発表した。一方、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は軍事作戦続行の意向を改めて表明した。

 トルコ軍は国境沿いの要衝都市の奪取を目指した戦闘を継続しており、これまでに民間人およそ10万人が避難を余儀なくされている。

 ホワイトハウス(White House)で記者会見したムニューシン長官は、トランプ氏が間もなく「重大な制裁」を承認する大統領令に署名すると表明。ただ、米国は直ちに同制裁の発動はしない意向だと説明した。制裁はトルコ政府の関係者を標的としたものになるという。

 トランプ大統領は6日、米軍のトルコ・シリア国境周辺からの撤退を指示し、トルコによる軍事作戦開始の事実上のきっかけを作った。ただトランプ氏はここにきて、米国には停戦を仲介する用意があると表明している。

 マーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は停戦に向けた交渉の準備段階として、トルコに対し攻撃停止を「強く促した」と表明。一方でトルコのエルドアン大統領は直ちにこれに応じ、攻撃は「停止しない」と言明した。

 軍事作戦が3日目を迎えた11日、クルド人を主体とする民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は国境沿いのおよそ120キロにわたる区間で地上部隊による複数の攻撃の撃退を試みた。

 戦闘による民間人の死者はシリア側で17人、トルコ側で同じく17人に上っている。トルコ側の死者のうち8人は、11日夜に国境沿いの町であった攻撃によるもので、地元当局はこの攻撃についてクルド人勢力が迫撃砲で行ったものだとしている。

 在英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、SDF側では戦闘員54人が死亡。一方でトルコは兵士4人が死亡したと発表した。(c)AFP