【10月11日 AFP】ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)に臨むニュージーランド代表のサム・ホワイトロック(Sam Whitelock)は11日、超大型の台風19号(アジア名:ハギビス、Hagibis)が日本に接近する中、「ラグビーはささいなこと」と語り、プールステージ最終戦が中止になったことで上がった優遇措置だとの非難の声をはねつけた。

 イタリアのセルジオ・パリッセ(Sergio Parisse)主将は、ニュージーランドとの試合が中止となって準々決勝進出の可能性が絶たれたことに怒りをあらわにし、オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)が勝つ必要があったならば、試合は行われていただろうと主張した。

 最大瞬間風速75メートルの台風19号が東京や横浜方面に向かっているため、12日に予定されていたニュージーランド対イタリア戦とイングランド対フランス戦は、安全を考慮して中止となった。

 オールブラックスのスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)ヘッドコーチ(HC)はイタリアとの一戦を「むしろ金曜日(11日)に行ってもよかったが、われわれが選択したことではなく、なすすべがなかった」とコメントしている。

 またワールドラグビー(World Rugby)はえこひいきを否定し、「すべてのチームのための一貫した、公正で公平な結果」を請け合うため「すべての選択肢を徹底的に調査」したとしている。

 パリッセは前例のないW杯の試合中止について「ばかげている」とコメント。中止となった試合は0-0の引き分け扱いで、これで敗退が決まったイタリア代表は激怒している。イタリアはプールBから勝ち上がるためにはニュージーランドから史上初めての勝利を挙げた上に、ボーナスポイントも獲得する必要があった。

 これが非現実的な結果とはいえ、パリッセは少なくとも挑戦することには値すると反論し、「仮にニュージーランドが勝ち点4か5を必要としていたら、試合は中止になどなっていなかっただろう」と怒りの声を上げた。

 一方でホワイトロックは、オールブラックスとしてはプレーしたかったとし、「こちらが判断したわけではない。上からのお達しだ。彼らに聞いてみてほしい」と主張している。

 スーパーラグビー(Super Rugby)のクルセイダーズ(Crusaders)で長らくプレーしているホワイトロックは、2011年にニュージーランド南島クライストチャーチ(Christchurch)で地震が発生した際や、今年3月に同市で銃乱射事件が起きた際に、試合の中止を経験している。

「地震や乱射事件でスーパーラグビーの中止を経験している。その試合について、なぜ(中止)なのかは理解ができるでしょう。ラグビーはささいなこと」

「時にはプレーしないことが正しいときだってある。私たちがプレーをして、誰かがけがしたらそれほどいやなことはない」「上からのアドバイスを聞いていて、自分たちにはそれを変えることはできない。私たちは、配られたカードでプレーしなければならない」 (c)AFP