【10月11日 AFP】ベトナムの首都ハノイで「自撮りスポット」として外国人観光客に人気の通称「トレインストリート(Train Street)」を、当局が10日、バリケードで封鎖した。安全上の理由だとしているが、インスタグラム(Instagram)にセルフィー(自撮り写真)を投稿しようと訪れた観光客らは憤慨している。

 ハノイ中心部にあるトレインストリートは、狭い路地に鉄道の線路が敷かれ、毎日走る列車を素早くよけながらの自撮りが絶好の旅の記念になるとして、観光客の人気を集めてきた。

 だが、ハノイ当局は今週、事故を防ぐため線路への立ち入りを禁止すると発表。10日に警察がバリケードを設置した。

 この日訪れた数十人の観光客は、落胆しながらトレインストリートを後にした。マレーシアからの旅行者は、「すごくいらいらする。線路の上で写真が撮れないなんて」と不満を口にし、また来ると宣言した。まだ封鎖されていない区間から線路内に侵入し、列車がゆっくり近づいてくると進路を譲る観光客の姿もちらほら見られた。

 線路はフランス植民地時代に建造されたもの。沿線はかつて薬物使用者や不法居住者が集まる治安の悪い一帯として知られていたが、付近の写真がソーシャルメディアで共有されるようになり、観光スポットとなった。

 地元のカフェの店主らも、立ち入り規制のせいで経営に影響が出るとぼやいている。線路沿いの自宅でカフェを営む男性は、観光客は列車が近付けば線路からどくのが通例で、「ここでひどい事故が起きたことなど一度もない」と主張。バイクがあふれるハノイの道路事情を引き合いに出し、「市内の渋滞に比べれば、よほど安全だ」と述べた。(c)AFP