【10月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏に近い実業家2人が9日夜、米国の選挙資金法に違反したとして逮捕、起訴された。両被告は国外逃亡を図っていた。米下院による大統領の弾劾調査を指揮する下院民主党指導部は10日、両被告に召喚状を出した。

 逮捕・起訴されたのは、ウクライナ生まれのレフ・パルナス(Lev Parnas)被告とベラルーシ生まれのイゴール・フルマン(Igor Fruman)被告で、いずれも米国籍。両被告は9日夜、米ワシントン郊外のダレス空港(Dulles Airport)で、片道航空券で国際便に搭乗しようとしていたところを逮捕された。ニューヨーク州南部地区のジェフリー・バーマン(Geoffrey Berman)連邦検事が記者会見で明らかにした。

 弾劾調査を指揮する下院情報特別委員会のアダム・シフ(Adam Schiff)委員長(民主党)は、両被告はフロリダ州を拠点とする実業家で、「ジュリアーニ氏と協力し、トランプ氏の政敵の汚点を探すようウクライナに圧力をかけたとされる」と説明。両被告に「重要文書」の提出と議会証言が命じられていることを明らかにした。

 トランプ氏は10日、両被告について「そんな人は知らない。何をしたのかも知らない」「ルディ(ジュリアーニ氏)に聞いた方がいいんじゃないか」と述べた。

 起訴状によれば、両被告は米国の選挙活動に外国資金を流した罪に問われており、うち32万5000ドル(約3500万円)は2020年の再選を目指すトランプ陣営に渡ったとされる。米国の選挙陣営が外国人から献金を受け取ることは、法律で禁止されている。こうした献金の多くは、米国で大麻小売事業の許可取得を望むロシア人実業家「外国人1」からのものだった。

 起訴状はジュリアーニ氏を名指ししていないものの、同氏が関与していた米国のマリー・ヨバノビッチ(Marie Yovanovitch)前駐ウクライナ大使が任期終了前に解任された件に言及している。

 下院民主党は現在、前大使の解任理由が2020年米大統領選の有力候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に対する調査をウクライナに求めるジュリアーニ氏に従わなかったことなのかについて調べている。

 起訴状は、両被告が「米政府に当時の駐ウクライナ米大使の排除または解任を実現するための支援」を米下院議員1人から得る目的で、この議員のために2万ドル(約220万円)以上を調達することに同意したと説明。「大使排除の試みの少なくとも一部は、1人または複数のウクライナ政府当局者の要請で実行された」としている。

 議員の名前は記載されていないが、選挙資金関連の文書から共和党のピート・セッションズ(Pete Sessions)元下院議員(テキサス州選出)と判明している。(c)AFP/Chris Lefkow