【10月10日 AFP】人類が地球を離れ、太陽系外の惑星に移住する未来は来ないだろう──系外惑星発見の功績で2019年のノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)の受賞が決まったスイス人科学者、ミシェル・マイヨール(Michel Mayor)氏(77)が9日、AFPのインタビューに語った。遠すぎるからだという。

 マイヨール氏は8日、系外惑星の検出技術を改良した研究業績をたたえられ、同僚のディディエ・ケロー(Didier Queloz)氏と共にノーベル物理学賞の受賞者に選ばれた。

 学会出席中のスペイン・マドリード郊外でインタビューに応じたマイヨール氏は、人類の惑星間移住の可能性を問われると、「系外惑星についての話なら、はっきりさせておく必要がある。われわれがそこに移住することはない」と答えた。

「系外惑星は、とにかくあまりにも遠すぎる。それほど(地球から)離れていない居住可能な惑星に関して非常に楽観的な見方をしても、数十光年はかかる。光の速さでは大した距離ではないし、近所にあると言えるが、(人類が)実際に到達するにはかなりの時間がかかる」とマイヨール氏は説明。「今日の人類が有する手段では、気の遠くなるような日数がかかるということだ。私たちは地球を大切にしなければならない。とても美しく、今なお居住に最適な星だ」と続けた。

 その上で、「『いつか地球に住めなくなったら居住可能な別の惑星に移住しよう』などという主張は抹殺する」必要があると感じていることを告白。そのような考えは「全くばかげている」と一蹴した。

 マイヨール氏はジュネーブ大学(University of Geneva)の教授だった1995年10月、南フランスの天文台で、博士課程の教え子だったケロー氏と共に、独自開発した観測機器で世界初となる系外惑星を発見した。太陽型の恒星を公転する系外惑星はそれまでSFの世界にしか存在せず、この発見は天文学に革命をもたらした。その後、銀河系では4000個を超える系外惑星が発見されている。(c)AFP