■インスタグラムには磁石のように偽情報が

 フェイスブック、ツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアのプラットフォームは、偽情報対策を模索している。

 インターネット上で自動投稿を行うボットは偽ニュースを拡散するが、その対策はますます困難になっていると専門家は指摘する。

 スタンフォード大学の教授で、フェイスブックの情報セキュリティーの元責任者アレックス・スタモス(Alex Stamos)氏は、2016年の選挙介入に強硬措置を取らなかったことがロシアをつけ上がらせ、2020年の選挙戦にもロシアは介入しようとするだろうと主張。中国、イラン、北朝鮮もこうした活動を試みるかもしれないと述べている。

 フェイスブック、グーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)、ツイッターは9月、連邦捜査局(FBI)、国土安全保障省、情報当局と選挙の脅威対策について話し合った。

 米ニューヨーク大学のビジネスと人権センター(Center for Business and Human Rights)は報告書で、フェイスブック傘下の写真・動画共有サービス「インスタグラム(Instagram)」は次期大統領選で「偽情報を磁石のように引き寄せる」最も重要な場になり得ると指摘し、ロシアは「無知な」米国人を使ってプロパガンダを広めようとするかもしれないと述べている。

 専門家らはSNSに対し「明らかな偽情報」を削除するよう求めているが、事実の「決定者」となることを回避しようとしているSNS側にとっては扱いづらい課題だ。

 米国に本部を置くシンクタンク「フリーダム・ハウス(Freedom House)」は、コンテンツが「明らかに誤り」であると証明するのは難しく、外国のコンテンツをすべて禁止すると「報道の自由を損なう恐れがある」としている。

■投票に行かないように仕向ける戦術が増加

 選挙介入の中には「ボーター・サプレッション(投票妨害)」を狙ったものがあり、脅しやうそによって投票に行かないように仕向けるこうした戦術は2020年の大統領選では増加するとみられている。

 ロシア政府とつながりを持つ同国企業「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」は、2016年の米大統領選で非白人有権者の投票を阻止するため、フェイスブックで「選挙ボイコット」広告を展開した。米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のヨンミエ・キム(Young Mie Kim)氏の研究によると、IRAの広告は、どの大統領候補も黒人有権者のために尽くしてはくれないと主張する内容だった。

■電子投票機の脆弱性

 電子投票機に脆弱(ぜいじゃく)性があることは長年指摘されてきたが、ニューヨーク大学のブレナン司法センター(Brennan Center for Justice)によれば、少なくとも8州で使用される予定の電子投票機はペーパーレスで、投票結果に疑いが生じても再集計できないおそれがある。

 地方自治体の多くは旧式のコンピューターシステムを使用しており、有権者のデータベースがハッキングされたり、ランサムウエア攻撃で選挙人名簿が利用できなくなったりするなどの事態が懸念されている。また、紙のバックアップがなく、再集計できないと、電子投票機の結果が改ざんされても分からない可能性がある。(c)AFP/Rob Lever