【10月8日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)は、ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)のダリル・モリー(Daryl Morey)ゼネラルマネジャー(GM)が香港の民主化デモを支持する内容をツイッター(Twitter)に投稿したことで起きた騒動に関して、言論の自由を擁護する姿勢を示した。

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 今回の騒動が勃発したのは、モリーGMが香港で自由を求めるデモ隊への支持を4日にツイートしたことがきっかけだった。これに対し、中国側はすぐさまロケッツへの報復を模索。国営中国中央テレビ(CCTV)はロケッツ戦の放送中止を決めたほか、同国の複数スポンサー企業がチームとの関係を断つと表明した。

 ロケッツはスター選手のジェームズ・ハーデン(James Harden)が謝罪する事態に追い込まれる中、NBAはモリーGMの発言について「遺憾だ」などと反応。これには、経済的な理由で中国側に屈服しているものだとして、米国の上院議員らから批判の声が上がっていた。

 しかし、7日になって今回の騒動に初めてコメントしたNBAのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは、組織としてモリーGMの表現の自由を支持する方針を示した。

 日本で行われるロケッツ対トロント・ラプターズ(Toronto Raptors)のプレシーズンゲームに向けて、現在来日中のシルバーコミッショナーは、「価値観に基づく組織として明確にしておきたいのは、ダリル・モリー氏は言論の自由を保障されているということだ」とすると、「このリーグには、初期の頃から存在する価値観があり、それには表現の自由が含まれている」と述べた。

 その一方で、米国以外では最も大きな市場である中国において、ロケッツとNBAに経済的影響が及ぶことにも言及し、「間違いない。経済的影響があることは明白だ」「あのツイートから、すでに明らかにドラマチックな結果がもたらされている」と語った。

 今回の騒動に関するNBAの最初の英文コメントでは、モリーGMの見解が「中国におけるわれわれの大勢の友人やファンを傷つけた」ことは「遺憾である」と記述されていた。また、中国語のコメントではさらに踏み込み、「今回の不適切な発言に深く失望している」とつづられていた。

 NBAの他の幹部と共に今週中国に赴くことになっているシルバーコミッショナーは、今回の騒動は「言葉が非常に重要である」ことを裏付けているとした上で、「中国政府と中国企業にも、これらの言葉に反応する権利があると考えている。少なくとも、私の長年にわたるNBAでの経験からして、こうした問題が収束するにはしばらく時間がかかるだろう」と述べた。(c)AFP/Sara HUSSEIN