【10月9日 AFP】ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は8日、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相と電話会談を行い、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐる英・EU間の新たな協定案について協議した。英首相官邸は会談後、合意は「本質的に不可能」などとしたメルケル首相の発言を明かす異例の措置を取った。

 ドナルド・トゥスク(Donald Tusk)EU大統領は、英官邸の動きを強く批判。10月末の離脱期限を前に、双方が相手側が合意を妨げているとの非難を続け、交渉は破綻寸前の様相を呈している。

 EUは来週、ベルギーのブリュッセルで英国離脱の命運を分ける首脳会議を開く。ジョンソン首相が先に提案した新たな離脱条件は不興を買っており、メルケル首相との電話協議は立て直しを図るものだった。

 官邸筋によると、メルケル氏は論争の続くアイルランド国境問題によって妥協が「本質的に不可能」になっているとし、この問題に対する姿勢を改めるようジョンソン首相に要求。さらに、離脱合意の実現は「圧倒的に見込み薄」に見えるとし、離脱交渉は「決裂寸前」だと述べた。

 トゥスクEU大統領はツイッター(Twitter)上でジョンソン首相を名指しし、官邸に非公開協議の詳細をリークさせて「愚かな非難ゲーム」をしていると厳しく批判。何を求めるのか明確な計画のないまま、「欧州と英国の将来」で遊んでいるとした。

 一方、ドイツ首相府は、「そうした機密性の高い会話について」はコメントしないと表明。英国側でも、ジョンソン首相の報道官は発言の中身に言及することを拒んでいる。

 ただし英首相報道官は、両首相の間では「率直な意見交換」が行われたと説明。意見が分かれていることを示す外交表現を使った。

 さらに同報道官は「双方は離脱合意の達成を強く望んでいることを確認した」と述べるなど、トゥスクEU大統領の批判に反論した。(c)AFP