【10月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8日、米国はシリアのクルド人勢力を「見捨てたわけではない」と表明し、米国がトルコのクルド人攻撃を容認するかについて錯綜(さくそう)したメッセージを再び発信した。

 トランプ氏は6日、トルコ・シリア国境の要衝地域からの米軍撤退を発表し、トルコが長らく計画してきたシリアのクルド人勢力攻撃を容認する姿勢を示唆。クルド人勢力はシリアで米軍と共にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦を進めてきたことから、トランプ氏の決定は自党・共和党の重鎮らから裏切り行為と見なされていた。

 トランプ氏は8日のツイッター(Twitter)投稿で、「われわれはシリア撤退の途上にあるかもしれないが、決してクルド人を見捨てたわけではない。クルド人は特別な民族で、素晴らしい戦闘部隊だ」と表明。同時に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国で貿易相手国のトルコと米国との重要な関係を強調し、自身の決定を擁護した。

 トランプ氏は「非常に多くの人が、トルコは米国の大きな貿易相手国であることを都合よく忘れている」と指摘。一方で、「自発的あるいは不要な戦闘」はトルコ経済に「壊滅的な」結果をもたらすと警告したものの、トルコによるクルド人攻撃への反対は明言しなかった。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、米軍撤退の発表を受け、クルド人勢力に対する攻撃をすぐにでも「警告なしに」実施する構えを表明している。トルコ国防省は8日、シリア北部に対する攻撃の準備が「完了した」と発表した。(c)AFP