【10月17日 CNS】隣の会議室では若い人たちがお見合いパーティーの企画を議論している。その隣のダイエット用品会社の女性は、巻き尺で同僚の体のサイズを測っている。お昼になると、若者らが共用スペースのソファでくつろぐ…これがシェアオフィスの光景だ。

 上海市徐匯区(Xuhui)にある「Kr Space」は、中小企業のためにシェアオフィスの一貫サービスを提供しているプラットフォームだ。オフィスの1スペース当たりの標準賃貸料は1800元(約2万7000円)からとしており、今年の5月には同社が10億元(約150億円)の融資を受けたと発表した。

 シェアオフィスでは、オフィスのコストを低減するために、オフィス空間を共有する。シェア・エコノミーの流れの中で発生した新しいビジネスだが、多くのテナントは宣伝内容と実際にやっていることが異なるため、家主に対してもスペースの「また貸し業」との暗いイメージがつきまとう。

 中米貿易戦争を受け、経済の先行きが弱含みとなるなどの不安がテナントの拡大の勢いを削いでいる。しかし、今年の上半期、上海では中心ビジネス街と新興ビジネス街でシェアオフィス大手の新たな動きもみられる。

 シンガポールに本社を置く不動産開発大手「Arcc Spaces」は先月25日、上海で5軒目のシェアオフィス形式の高級サービスオフィスを開業。この新オフィスは上海の中心的ビジネスエリアの陸家嘴(Lujiazui)に位置し、300を超える賃貸スペースとワーキングエリア、高級会議室、専用休息室などを有し、面積約15平方メートルのオフィスの賃貸料は1万7000元(約25万6000円)だという。

 国家情報センター(The State Information Center)が発表した「中国シェアエコノミー発展年度報告(2019)」によると、2018年のシェアオフィスの賃貸料収入は前年同期比で87.3%増となっており、シェアエコノミー全体の増加率41.6%を大きく上回っている。

 市場規模あるいは発展速度を問わず、シェアオフィスが衰退するにはまだ早い。ただし、シェアオフィスが単純に「また貸し」のごとく賃貸料収入だけを求めるのであれば、将来性はないこともたしかだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News