【10月7日 AFP】トルコ政府は、シリア北部の国境地帯で、クルド人民兵部隊を標的とした「空と陸から」の軍事作戦を間もなく開始すると発表した。米ホワイトハウス(White House)は6日、米軍を国境付近から撤退させ、トルコの作戦支援は行わないと表明。一方、クルド人側は、トルコ軍がシリアに侵攻すればイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の復活を招くと警告している。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は5日、テレビ演説で「きょう、あすにも」作戦を開始すると宣言した。

 これを受けてホワイトハウスは6日、「トルコは間もなく、かねて準備してきたシリア北部へ向けた軍事作戦を開始する。米軍は支援も関与もせず、ISIS(ISの別称)の『カリフ制国家』を打倒した米軍部隊は隣接地域にはもはやとどまらない」と発表。さらに、シリア北部で拘束された元IS戦闘員を本国へ帰国させていないとして「フランス、ドイツをはじめとする欧州諸国」を批判し、「今後はトルコが、この2年間で奪還した地域にいる全ISIS戦闘員について責任を持つ」と述べた。

 これに先立ち、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はエルドアン氏と電話会談。トルコ大統領府によると、来月に米首都ワシントンで会ってシリア北部への「安全地帯」設置について直接協議することで合意したという。

 米国は、対IS作戦でクルド人民兵部隊「クルド人民防衛部隊(YPG)」と協力してきたが、トルコ政府はYPGをトルコのクルド人武装組織から分派した「テロ組織」とみなしている。米政府はこれまで、YPGに対するトルコの軍事作戦を止めようと努めていた。

 YPGが中心となって組織されたクルド人とアラブ系の対IS合同部隊「シリア民主軍(Syrian Democratic Forces)」は7日、米軍がシリア・トルコ国境地帯から撤退を始めたと発表。トルコ軍が侵攻してくれば、ISを打倒したクルド人らの数年に及ぶ努力が無に帰し、生き延びて隠れているIS指導者が現れてISの復活を招きかねないと警告した。(c)AFP