【10月21日 東方新報】1946年から運行を続ける機関車「毛沢東(Mao Zedong)号」の歴代機関士・乗務員チームが、建国70周年を記念して設立された称号「最も美しき奮闘者」のリストに加えられた。祖国の発展に貢献した個人・団体を表彰するもので、新中国誕生前後から現在まで、毛沢東号と乗務員たちは代替わりをしながら「赤いDNA」を継承してきた。

 毛沢東号の誕生は1946年10月。輸送力不足を解消するため、壊れた機関車を再生させる「死車復活」運動に取り組んでいたハルビン(Harbin)機関区肇東(Zhaodong)駅の作業員らが、27日間にわたり昼夜仕事を続けて修復を完了させ、その蒸気機関車が「毛沢東号」と名付けられた。

 当初の任務は、日中戦争時代に日本軍が埋設し残っていた地雷の除去作業。さらに国民党軍との解放戦争で進撃する人民解放軍とともに各地に輸送を続け、「解放軍ある所に毛沢東号あり」と称された。新中国誕生直後の朝鮮戦争では、「標準を乗り越える輸送運動」に取り組み、優れた乗務員たちの力量で標準積載量を18%上回る輸送を実現させた。

 初代の毛沢東号は30年以上活動を続け、1977年にディーゼル機関車が2代目の毛沢東号となった。3代目以降から車両型番号は毛沢東氏の生年にちなんだ「1893」に統一され、5代目の和諧3B型1893号機で初の電気機関車となる。毛沢東号は、2008年の四川大地震でも被災地に向かう支援列車の先頭となった。戦争から天災まで、直面する苦難を乗り越えてきた毛沢東号は、まさに中国鉄道の発展・進歩の証人だ。

 そして2014年、毛沢東号は貨物列車から旅客列車に生まれ変わった。代替わりしながら無事故運転記録を更新し続け、その距離は1100万キロを超えた。「機関車の中の機関車」といわれるゆえんだが、それも毛沢東号を操作する乗務員たちの努力のたまものだ。

 歴代13代目となる現在の機関士長・王振強(Wang Zhenqiang)さんは、毛沢東号に乗り込むにあたり「スパルタ式特訓」を受けたという。「制服のボタンの位置が正しいかどうかから始まり、機関車をレバーで操作する際は1センチ単位の正確さを求められました。運転室には水をいっぱいにしたコップが置かれ、一滴もこぼさずに運転しなければなりません」

 機関車前面には毛沢東氏の胸像を模した大型レリーフが飾られている。レリーフの変わらぬ輝きは、乗務員らのたゆまぬ努力によって支えられている。毛沢東号に従事してきたOBや現役乗務員は「今回の表彰は特定の個人でなく、全体に与えられたもの」と口をそろえる。「最も美しき奮闘者」たちにより、毛沢東号が走る「栄光のレール」は未来に延び続けている。(c)東方新報/AFPBB News