【10月7日 東方新報】中国の人口は年内に14億人に達する見込みだ。当面は人口増が続くが、国連の推計によると、2027年ごろにはインドに逆転され、世界一の座を明け渡す。2028年の14億4200万人をピークに減少に転じる見通しで、そこからは「苦難の時代」に直面すると予想されている。

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 中国は古くから「人口統計マニア」の国だ。最初に全国的な戸籍が作られたのは前漢の末期、西暦2年にさかのぼる。「人口5959万4978人、戸数1223万3062戸」と一桁まで記録されている。人口の増減は税収に直結し、政治の善しあしを表す指標とみられていたため、歴代王朝は常に人口を調査した。

 それから長い間、人口が1億人を超えることはなかったが、近世の清王朝になると爆発的に増える。歴代王朝の中でも領土が広大で、トウモロコシやサツマイモなどの外来作物の普及などが影響したようで、1840年のアヘン戦争時には人口4億人に達した。

 そして中華人民共和国が誕生した1949年では5億4000万人。その後の70年間でさらに8億人以上も増えたのだが、それでも1979年から始めた「一人っ子政策」により人口を抑制した。中国政府は「4億人以上の人口抑制効果があった」と説明している。

 その一人っ子政策も2015年に廃止され、翌年からすべての夫婦に2人までの出産を認めた。社会の中核を担う生産年齢人口(15-65歳)が減少に転じたためだ。高齢化も急速に進み、2017年の65歳以上の高齢者は1億5847万人となり、人口の11%に達した。

 それでも出生率が急激に向上するという見方は少ない。一人っ子政策が浸透し、各家庭は1人の子どもに小さい頃から家庭教師をつけ、多くの習い事をさせ、大学生になれば海外留学させるなど、高学歴で良い就職先を手に入れるため、収入のほとんどを子どもにつぎ込んでいる。苛烈な競争社会の中、2人目、3人目の出産は難しい。

 また、社会の都市化が進み、若者の高学歴化が進む中、先進国と同じように男女とも結婚年齢が上がってきている。初婚年齢は男性が28歳近く、女性が26歳近くになり、今後も晩婚化が進む。結婚しない若者も増え、離婚率も高まっている。

「男余り」も深刻だ。出生人口の性別割合は人種に関係なく、自然な状態では女を100とすると男は105前後となる。男の若年死亡率が高いため、成人したときに男女の数が対等になるよう「神の見えざる手」がはたらいているともいわれる。しかし、中国では一人っ子政策を始めてから男児の出産が異常に増えた。

 労働力や老後の生活保障の担い手として男子を求め、妊娠しても女児と分かると中絶する家庭が続出した。中国の産婦人科では赤ちゃんの性別を出産するまで原則教えないが、違法な超音波検査が横行しており、妊娠中に性別を調べることは難しくない。男女の性別比率は女が100に対し、男は120にまで増えた。最近は100対110ほどになったが、結婚適齢期の男性はすでに女性より数千万人多い。経済力で劣る農村部にしわ寄せが来ることになる。

 国連の人口予測では、2035年に中国の65歳以上の高齢化率は21%を超え、「超高齢化社会」が到来する。「未富先老」(豊かになる前に老いを迎えること)が懸念されている。

 中国政府はこうした問題を指摘されるまでもなく理解している。中国メディアによると、早ければ2020年には「二人っ子政策」も廃止し、産児制限を完全撤廃するとみられている。今後もさまざまな出産奨励策を打ち出していくだろう。

 子育てがしやすい「社会インフラ」が進んでいることも強みだ。中国ではほぼすべての家庭が共働きで、保育園が園児を朝から夕方まで面倒を見て、3食すべて提供することも当たり前だ。日本で今も議論されている「仕事と育児の両立」はすでに実現しているとはいえ、子どもを生んで育てたい意思があれば、それを支えるシステムは整備されている。多くの先進国が直面している少子高齢化問題に、中国がどのように対処していくかが注目される。(c)東方新報/AFPBB News