【10月5日 AFP】米シンクタンクのブレナン司法センター(Brennan Center for Justice)は3日、米政府機関が行う調査に対するドナルド・トランプ(Donald Trump)政権による介入が「危機的状況」に達しているとする報告を発表した。

 同センターによると、米国では最近もハリケーンの進路をめぐりトランプ氏の誤った主張に合わせるよう、商務長官が気象当局者に圧力をかけるなど、政府機関調査に対する行政不介入の原則が政権によってむしばまれている。

 同報告は、以前は尊重されていた保護措置が毎週のように破られていると指摘。科学の無視は、政治的に無効でコストのかかる政策につながると警告している。また正確かつ非政治的で、政府の支援を受けた調査や分析が保護されるべきだと述べている。

 報告者らは、宇宙開発競争や病気治療、インターネットのような技術革新などを通じて「人類の歴史の道筋を変えて」きた政治的偏重のない政府機関調査の原則が、最近の歴代政権下では脅威の増大にさらされてきたと主張。それにも増してトランプ政権下では介入が新たなピークに達しており、こうした傾向は将来の政権にも許容範囲を超える介入の余地を与え、悪循環が生まれる危険があると警鐘を鳴らしている。

 特に人為的な気候変動は、実際に起きていて対応に緊急を要するとの科学的総意があるにもかかわらず、こうした問題にさらされている。報告書によると、米環境保護局(EPA)の幹部は先日、専門家会議において政府機関の科学者らが気候変動に関する調査について発表するのを禁止。「内部プロジェクトの提案で『気候変動』などの言葉を使用しないよう指導されている」とする国立公園局(NPS)職員の報告も紹介した。

 ブレナン司法センターの報告は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権下でEPA長官を務めていたクリスティン・トッド・ウィットマン(Christine Todd Whitman)氏とプリート・バララ(Preet Bharara)元連邦検事が率いた。(c)AFP