【10月5日 AFP】(更新)香港で5日、抗議デモ参加者の覆面を禁止する新法が施行された。同市では新法の発表直後から各地でデモが行われ、警官隊との衝突に発展。覆面禁止は同市で数か月にわたり続く抗議行動の抑制が目的だが、デモ側は新法の断固拒否を宣言している。

 林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は4日、英国統治時代に制定された「緊急状況規則条例(Emergency Regulations Ordinances)」に基づいた覆面禁止法の制定を表明。同条例は非常事態や公共の危険が発生した際、議会の承認を経ずに行政長官が法律を制定することを可能とする包括的な規定で、発動は52年ぶりだ。

 香港では発表直後から各地でデモが発生した。ビジネス街では主に会社員からなるデモ隊が中心部の道路を封鎖。デモ参加者の中には、親中派ポスターを引きはがす人もいた。

 市内ではその後、衝突が夜通しで発生。デモ隊は道路にバリケードを築き、地下鉄の駅で破壊行為に及んだほか、路上に火を放ち、親中派の商店を損壊した。警察はデモ隊を解散させるため、複数の場所で催涙ガスを使用した。

 北西部の元朗(Yuen Long)区では、デモ隊に襲われた私服警官が実弾を発砲する事態も発生した。警官はデモ隊に取り囲まれた上、足元で火炎瓶が爆発する状況に陥っていた。英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)は医療関係者の話として、同区で14歳の少年が実弾の発砲を受けて負傷したと報道。この実弾が私服警官の発砲したものだったかは不明だ。

 地下鉄は全路線が運行停止となり、デモ参加者や地元住民、金曜の夜を楽しむため外出していた人々が足止めされた。デモ参加者らが利用するネット掲示板には、怒りのコメントのほか、週末にかけた3連休に街頭デモを行うとの宣言が多数投稿された。(c)AFP/Jerome TAYLOR/Jasmine LEUNG