【10月5日 AFP】仏パリで、ヘンデル(Handel)の「メサイア(Messiah)」のコンサートの途中で男性歌手が降板を余儀なくされ、観客としてその場に居合わせたメゾソプラノ歌手が代理でステージに立ち、コンサートを無事乗り切った。

 メゾソプラノ歌手のアデル・シャルべ(Adele Charvet)さんは1日、「ラジオ・フランス・オーディトリアム(Radio France Auditorium)」で行われていた、友人の若手指揮者バランタン・トゥルネ(Valentin Tournet)氏が出演するコンサートを鑑賞していた。

 公演は順調に進行していたかに思われたが、出演者の韓国人カウンターテナー、デービッド・DQ・リー(David DQ Lee)氏が休憩時間になって、今日はもう歌えないとトゥルネ氏に告げた。

 シャルベさんは2日、AFPに対し「休憩時間中に舞台責任者に出くわし、カウンターテナーがもう歌うことができず、舞台裏に行ってほしいと頼まれた」と明かした。

 シャルベさんはこれまでメサイアを歌った経験はなかったが、15分延長された休憩時間に自分のパートを確認したという。しかし、十分に声帯を温める時間も、ドレスに着替える時間もなく、ジーンズ姿のままステージに上がった。

「思ったよりうまく歌えた。観客はものすごく私を励ましてくれ、楽しそうだった」と、シャベルさんは語った。

 このコンサートは、フランスのクラシック専門ラジオ局「フランス・ミュージック(France Musique)」で11月5日に放送される。(c)AFP