【10月4日 AFP】世界で5500種以上の鳥類や哺乳類、両生類、爬虫(はちゅう)類が、野生動物の市場で売買されていることが、4日付の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された調査で明らかになった。陸生の脊椎動物の5種に1種が取引の対象となっている計算で、その市場規模は、当初推定の50%前後も大きいことが分かった。

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 野生動物がペット用や動物製品用に合法および非合法に取引され、その市場規模は数十億から数百億ドルに上っている。生物多様性を脅かす重大な脅威の一つとして認識されているが、取引の規模は十分に把握されていなかった。

 米フロリダ大学(University of Florida)と英シェフィールド大学(University of Sheffield)の研究チームは、絶滅寸前の種やその可能性がある種が、不釣り合いに取引対象の例として挙げられていると指摘。

 実際のところ、陸生の脊椎動物3万1745種のうち5579種、割合にして18%が取引されているという。

 哺乳類では27%が取引対象になっている。主に動物製品を作る目的で売買されており、例えばセンザンコウは、そのうろこや肉を狙って殺されている。

 両生類と爬虫類は珍しいペットや動物園の展示用として売られることが多い。鳥類は23%が、ペット用や薬の材料として取引されている。

 例えば、象牙に似た、オナガサイチョウのくちばしの上にある突起の需要が高まっており、2012年から数万羽が取引されている。

 論文執筆者らは、現在取引されている種との類似性に基づいて、今後さらに最大3196種が合法あるいは非合法的に取引されると予想。そのほとんどは絶滅寸前の種やその可能性がある種だという。この一例として、アジアでセンザンコウを見つけるのが困難になったのに伴い、アフリカ産のセンザンコウが取引されるようになった。

 論文は「往々にして、深刻な減少が記録されて初めて、種の保護が叫ばれる」と結論付けている。(c)AFP