【10月3日 AFP】(更新、写真・図解追加)フランス・パリ警視庁で3日、職員の男が包丁で警察官らを襲い、4人が死亡、1人が重傷を負った。男は射殺された。当局が明らかにした。動機は不明。フランスで近年起きた中で最悪の警察襲撃事件となった。

 複数の捜査関係筋によると、男は警視庁情報部のIT職員(45)で、1年半前にイスラム教に改宗していた。

 男は男性警察官3人と女性補佐官1人を殺害した後、構内の中庭で警察官によって射殺された。現場となったパリ警視庁は市中心部のノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)近くにある。

 男はカリブ海(Caribbean Sea)の仏領マルティニク(Martinique)島で生まれ、2003年から警察職員として働き、聴力障害があった。クリストフ・カスタネール(Christophe Castaner)内相は、男が「問題行動を起こしたことはなかった」と述べている。

 当初の報道では、職場でのいさかいが事件の原因だった可能性があるとの捜査当局の見解が伝えられていた。

 フランスの警察は、1年にわたり毎週続いた反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応により疲弊しており、職員らの間で緊張が高まっている。警察官の自殺も急増し、今年に入ってから52人が命を絶っており、今月2日には数千人の警察官が労働環境改善を訴える異例のデモ行進を行った。

 一方で、仏警察は2015年以降、「イスラム国(IS)」などのイスラム過激派による度重なる襲撃の対象ともなっている。(c)AFP/Gregory DANEL and Wafaa ESSALHI