【10月3日 AFP】フランス首都パリに2日、警察官数万人が集結し、労働条件の改善を求めて抗議デモを行った。その背景には、同国警察官の自殺が急増していることに加え、警察が過度の武力行使に及んでいるとする疑惑の目が向けられ、士気の低下につながっていることがある。

 デモ主催者は、全国の警察職員15万人のうち、2万7000人が参加したと推計しており、警察によるデモとしては近年最大規模となった。

 同国では、政府の政策に抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動がここ1年ほど毎週続いており、そのデモは暴力行為に発展することも多い。

「怒りの行進」と銘打たれたこの警察によるデモは、ジレ・ジョーヌ運動との対峙(たいじ)を強いられてきた警察官らの間に募るいら立ちを反映したものとなった。

 バスチーユ広場(Bastille Square)に私服で集まり、パリ東部を歩いた警察官の多くが、政府と国民のいずれからのねぎらいも支持もないと不満を訴えた。

 警察労働組合は「これは政府と大統領に対する厳しい警告だ。われわれは今すぐ、回答と具体的な行動を求める」としている。

 同日のデモは、今年に入ってから自ら命を絶つ警察官の数が急増している問題にも主眼を置いていた。

 内務省の統計では、昨年自殺した警察官は35人だったが、警察組合によると今年に入ってこれまでに52人が自殺したという。

 中部オーセール(Auxerre)の機動隊に所属する勤続20年という男性警察官はこの自殺急増の傾向について、「肉体的・精神的疲労」に加え、目標達成を求める上司からの圧力が原因になっているという見方を示した。(c)AFP/Clare BYRNE, Gregory DANEL