シリアに腰を据えるロシア、中東での影響力拡大の足掛かりに
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■「戦術はあるが戦略はない」
ロシアの軍事アナリスト、アレクセイ・マラシェンコ(Alexei Malashenko)氏はシリアでアサド大統領が権力の座にある限り、「これらの基地を通じてロシアは自身の地位を強化できる」と指摘する。
ロシアはアサド支援という賭けにより、基地を得ただけではなく、トルコ、イランとの関係も強化できた。3国はシリアに関する国際協議で今や重要なポジションにある。
ロシアの存在感は基地周辺だけではなく、その他の地域にも広がっている。ロシア軍の車両が町を巡回し、町中にはアサド氏とプーチン氏のポスターが並んで張られている。
首都ダマスカス西部郊外では、真新しい軍服と防弾チョッキを着た大勢のシリア軍兵士が、ロシアのアドバイザーから指導を受けていた。また、激しい戦闘の末に政府軍が2016年に支配を取り戻したシリア第2の都市アレッポ(Aleppo)では、ロシアが電線や水道管を整備し、打撃を受けた周辺地域の電気や水も復旧させた。
しかし、国際社会はアサド政権支援に慎重な姿勢を見せており、紛争終結後の復興はそれほど進んでいない。そのため、現時点ではロシアが他国に先んじている状態だ。国連(UN)は、シリア復興には4000億ドル(約42兆7000億円)かかると推定している。
こうした状況についてマラシェンコ氏は、ロシアがアサド氏とあまりにも近く、その立場にはリスクがあると指摘する。
「ロシアには他の道がない。良い戦術はあるが戦略はない」「今は他に先んじているが、この先どうなるかは誰にも分からない」 (c)AFP/Maxime POPOV