【10月3日 AFP】右手の指2本を失ったアフガニスタンの小説家レザ・ホラミ(Reza Khorami)さん(25)は、キーボードを打つのにも苦労している。ホラミさんの人さし指は2014年、選挙で投票したことを示す特殊インクがついていたため、旧支配勢力タリバン(Taliban)によって切断された。紫色のインクが飛び跳ねて付着した中指もその時、切り落とされてしまったという。

 タリバンは人々に露骨な刑罰を科すことによって、アフガニスタンに民主主義が根付くことを阻止しようとしている。だが、ホラミさんはこれに屈することなく、9月28日に行われた大統領選の第1回投票に行った。選挙は現職のアシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領とアブドラ・アブドラ(Abdullah Abdullah)行政長官の事実上一騎打ちとなっている。

「私はテロには屈しないということを示すため、2019年も投票に行った」とホラミさんは今週、首都カブールで行われたAFPの取材で語った。「彼らは私の指を切り落としたが、私の気持ちまでそぐことはできない」

 ホラミさんには、タリバンがやったことを世界に知ってもらいたいという思いがある。同国には、こうした刑罰の犠牲となった人が数千人いる可能性もある。

 先月28日の投票後、インターネットには投票した人たちが紫色に染まった指を誇らしげに見せる画像が複数投稿された。前の選挙で投票した人たちをタリバンが「罰した」にもかかわらず、勇気をもって今回の投票に行った人々による投稿だ。

 アフガンでは二重投票を防ぐため、投票を終えた有権者の指に、特殊なインクをつけることになっている。このインクは、1週間は消えないという。

 しかし、このはっきりと分かるインクによって、人々はタリバンの報復対象となるリスクにさらされてしまう。有権者に向けて、タリバンが投票に行かないよう繰り返し警告してることもあり、今年の選挙では多くの人が投票を控えた。投票率は史上最低となる見通しだ。