【10月3日 AFP】シンガポールでインターネット上の「偽ニュース」を取り締まる新しい法律が2日施行された。一方、IT大手や人権団体からは、政府に異議を唱える主張を抑え込む「恐ろしい」規制になりかねないとして批判が上がっている。

 新法の下では、ソーシャルメディアのサイト上に当局が偽ニュースとみなした投稿があった場合、サイト運営事業者に対し警告を掲載するよう命じる権限が閣僚に付与される。極端な場合には投稿の削除も要請できるとしている。

 そうした投稿がシンガポールの国益を損ねかねない、悪意に満ちた内容だった場合、それを掲載したサイト運営企業には最高100万シンガポール・ドル(約7700万円)の罰金が科され、個人は最長禁錮10年を言い渡される可能性がある。

 シンガポールにアジア本社を持つフェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、グーグル(Google)は、新法に適応するための猶予期間として、規定のうち数項目の対象から一時的に除外されている。

 シンガポール当局は長年、市民の自由を制限していると批判を受けている。だが新法は、社会を分断する温床となり、公共機関の信頼性を損ねる恐れがある偽情報が出回るのを防ぐために必要な措置だと主張している。

 しかし人権団体はこの新法によって、オンライン上の議論やIT企業、メディア機関などが抑圧される可能性があるとして激しく非難。さらに数か月後に行われるとみられているシンガポール総選挙で政府に批判的な勢力が弾圧されたり、学術研究における自由が失われたりするのではないかといった懸念を表明している。(c)AFP/Catherine Lai