【10月3日 AFP】米サンフランシスコを先月出港した海洋清掃に特化した船が初めて、太平洋ごみベルト(Great Pacific Garbage Patch)でプラスチックごみを回収した。同船を発明したオランダのNGO「オーシャン・クリーンアップ(Ocean Cleanup)」が2日発表した。

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 プロジェクトの目標は、悪名高い太平洋ごみベルトの半分を5年以内に除去すること。海洋中のプラスチックを集めるため、オイルフェンスのような「ブーム」をえい航する補給船1隻が参加している。

 オーシャン・クリーンアップの創設者で最高経営責任者(CEO)のボヤン・スラット(Boyan Slat)氏(25)はオランダ・ロッテルダム(Rotterdam)で会見し、われわれの清掃システムが初めて、太平洋ごみベルトのプラスチックを集めたことをきょう発表する」と語った。

 さらに「これほど巨大な漁網からマイクロプラスチックまで、太平洋ごみベルトのプラスチックを回収したのは誰であっても実質、これが初めてだ」「われわれは実際に海洋をきれいにできると考えている」と述べた。

 スラット氏はまだ高校生だった7年前にこのアイデアを思い付き、紙ナプキンにメモしていた。地球の海を汚している瓶やプラスチック製の袋、ビーチサンダルなどのごみを集めるために、海流を利用しようとする構想だった。

 清掃船マースク・ランチャー(Maersk Launcher)号は9月9日、太平洋ごみベルトの清掃実験のために米サンフランシスコを出港した。太平洋ごみベルトは米国のカリフォルニア州とハワイ州の間の海域にあり、フランスの面積の2倍に相当するごみが漂流している。

 ランチャー号は、浮遊する海洋プラスチックを集めてリサイクルするために設計された長さ600メートルのブームをえい航。ブームには、海面直下に浮かぶプラスチックを回収できる長さ3メートルの先細の「すそ」も付いている。

 スラット氏は今後、大きな枕形のゴム製ブイから成る、長さ100キロに及ぶ巨大なV字形バリアーをつくりたいという。

 スラット氏は国連(UN)で最も権威ある環境賞「チャンピオン・オブ・ジ・アース(Champion of the Earth)」を最年少で受賞。このプロジェクトに専念するため、航空工学の学習を断念している。

 映像は記者会見、オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)で2日撮影。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK