【10月3日 AFP】米首都ワシントンのホワイトハウス(White House)を2日に訪問したフィンランドのサウリ・ニーニスト(Sauli Niinisto)大統領は奇妙な体験をした。形式的なあいさつと大統領執務室(Oval Office)での雑談の後、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が政敵について怒りを爆発させ、男性の局部用サポーターついて声高に語るのを15分以上聴く羽目にはまったのだ。

 大統領執務室の美しい暖炉の前に座った両大統領の様子は一見、普通の2か国首脳会談と変わらなかった。だが、トランプ氏によるウクライナへの圧力疑惑をめぐる弾劾調査で揺れるワシントン、特にホワイトハウスにおいて、もはや「普通」は存在しない。

 トランプ氏は報道陣に向かって、自らの地位を脅かしている「恥ずべき」攻撃について、17分間まくしたてた。その間、ニーニスト氏は微動だにせず座っていたが、目の動きだけはコントロールできなかったようだ。

 首脳会談の写真撮影のために設けられた場が、歴史に残る怒濤(どとう)の会見場となっている間、ニーニスト氏は目をまばたきしたり見開いたりすることで、困惑から明らかな不快感まですべての感情を表現していた。

■下品な言葉を言い換えた?

 トランプ氏が攻撃の矛先を主に向けたのは、大統領弾劾調査を率いる下院情報特別委員会のアダム・シフ(Adam Schiff)委員長(民主党)に対してだ。

 トランプ氏は「shifty(シフティー、ずるいの意)」という言葉とシフ氏の名前をかけて「ずる賢くて不正直な男」と呼んだ。
 
 さらに、「いかがわしい」シフ氏とマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官を比較し、シフ氏は「彼(ポンペオ氏)の空のストラップ」を着ける資格もないと述べると、記者らに「理解できたか?」と尋ねた。ニーニスト氏を取材するフィンランドメディアの記者らの多くは、明らかに分かっていない様子だった。

 そこでトランプ氏は「シフ氏はポンペオ氏のジョックストラップを着けるにも値しない(ポンペオ氏ほどの能力がない)」と言う代わりに、もっと上品な表現を探して使ったことをほのめかした。ジョックストラップとは、男性スポーツ選手らが着用する局部用サポーターのことを指す。トランプ氏は、言い換えなければ「堕落」した「偽物」で「いんちき」なメディアが、大統領が下品な言葉を使ったと言って攻撃してくるからだと説明した。

 この会見のわずか1時間前にトランプ氏は、弾劾調査についてより簡潔な感想をツイッター(Twitter)に投稿。すべて大文字で「でたらめだ(BULLSHIT、直訳で牛のふんの意)」と書いていたが、そちらの心配はしていないようだ。(c)AFP/Sebastian Smith